
衆院議長公邸 ©時事通信提供
岸田首相が1月12日、有識者会議による最終報告を政府案として、国会に提出していました。
衆参両院はそれを受けて18日、与野党の代表者を衆院議長公邸に集めて、全体会議を開きました。
野党はおおむね、皇位継承問題について早く議論に入りたい考えです。
男系男子にこだわる党や、女系も認めるべきという党など考えに違いはあるにしても。
ところが何故か細田衆院議長は、国会での議論のスケジュールを示しませんでした。喫緊の課題であるというのに。
2017年に成立した天皇退位における特例法の付帯決議で、国会が政府に求めた──安定的な皇位継承、および女性宮家の創設──というテーマは、重要で先送りできないものです。
であるのに、有識者会議も政府もそれらを無視して、別のテーマで報告書を提出し──別のテーマとは、結婚後も女性皇族が皇族に残る案と、旧宮家の男系男子を養子縁組で皇族にする案ですが──細田議長は、国会=立法府の長として、何か意見していいようなものなのにスルッと受け入れている。
だいたい岸田首相自身が有識者会議に対して異議を唱えなかった。出来レースであったからなのか。
岸田首相も細田議長も、もしや自民党内の、力を持つ人たちの思惑に、配慮でもしているんでしょうか。
それから参院選で不利になりそうなテーマは排除しておこう、という配慮もあってか。
小泉政権時代には、有識者会議が「女性・女系天皇」を容認する報告書をまとめました。
が、当時は怖いこともあったようで、毎日新聞の古賀攻専門編集委員が、次のエピソードを書いています(1/19)。
《「女性・女系天皇」容認論を打ち出した有識者会議の座長は、過激な右派勢力に襲撃される恐れがあるとして数年間、警察の警護対象になった。》
そんなエピソードも残すくらいに、明確でいさぎよく先見の明をもった報告書が当時はまとめられたのでした。
いまの自民党の中でも、とにかく逃げずに議論をやってほしいです。そして国会にて喫緊の皇位継承テーマを議論してほしいです。
皇族の方々も生身の人間であり、明日のこと将来のことを気にかけて悩みながら暮らしておいででしょう。
そういう現実から目をそらし、皇位継承問題は棚上げしても平気らしい自民党は、自民党自身が、一等大事なのでしょうか。