皇位継承をためらっている? 秋篠宮さまのことばを読み解く、高森氏

秋篠宮さま ©時事通信社

57歳の誕生日にあたって秋篠宮さまは記者会見をされましたが、記者からの質問に、びみょうに回答をさけた部分があり、そこは見逃せないメッセージだ、と高森明勅(たかもり あきのり)さんは考えました。

そして神道学者で皇室研究家の高森さんは、そのメッセージについてプレジデントオンラインの記事にまとめました。
その一部を転載します───

記者がご長男の悠仁殿下の高校生活の様子と「皇位継承者としての教育方針」を尋ねた。これに対し、秋篠宮殿下は悠仁殿下の高校生活についてお答えになった後、「その次のことにつきましては……」という言及の仕方をされた。これは、微妙ながら「皇位継承者としての教育方針」という真正面からの表現を、あえて避けられたように見受けられた。
(中略)
天皇陛下に女子であっても現にお子様がいらっしゃり、さらに今後、皇室典範の改正という重大な課題が政治日程にのぼっている以上、悠仁殿下の皇位継承を”既定の事実”のように語ることは控えたい、という意識をお持ちなのではないかと思われる。
(中略)
この点については、秋篠宮殿下の「ジェンダー平等」についてのお考えも、関係しているかもしれない。
(中略)
これまで堅持されてきた、天皇との血縁の近さを重視する「直系」優先の原則を維持する限り、「傍系」の秋篠宮殿下、悠仁殿下よりも敬宮(としのみや)(愛子内親王)殿下の順位が先になるからだ。その時は敬宮殿下が”皇嗣”になられ、「皇嗣たる皇子」なので「皇太子」と呼ばれる(皇室典範の用語法では「皇子」「皇太子」は男女とも含む)。
(中略)
事実として過去の皇位継承に大きな貢献をしてきた、正妻以外の女性(側室)から生まれた非嫡出子、非嫡系子孫による皇位継承の可能性がすでに一切排除された。
にもかかわらず、皇位の継承資格を過去の男尊女卑の観念にとらわれて「男系の男子」だけに限定していては、一夫一婦制の下で男子が代々生まれ続けることはありえないので、傍系による多少の支えがあっても、皇位の安定的な継承も、皇室そのものの存続も、望みがたい。

率直に言えば、今の制度のままなら、皇室はやがて悠仁殿下お1人だけになる。しかも、そのご結婚相手は必ず1人以上の男子を生まなければ皇室そのものが滅びる、という想像を絶する重圧から逃れられない。そのことがあらかじめ分かりきっている場合、ご結婚のハードルは絶望的に高くならざるをえない。悠仁殿下は苛酷なご生涯を強いられることになる。

そのことを誰よりも深く理解しておられるのは秋篠宮殿下ご本人だろう。ジェンダー平等という理念に加えて、現実面での至難さを考えると、今の「男系の男子」限定という制度を前提とした悠仁殿下のご即位を、既定の事実と認めることに強い違和感を抱えておられても、決して不思議ではあるまい。

高森 明勅氏の記事全文→「悠仁さまの皇位継承にためらい」秋篠宮さま記者会見に込められた”見逃せないメッセージ”

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