愛子さまと、佳子さまと、悠仁さま。
もしかしてこの若いお三方は、実は今それぞれに、同じような苛立ちをかかえているのではないでしょうか。
自分の将来をみずから見通すことができない、というか見通すことを、ストップさせられているからです。
それも国会によって、政治家によって、具体的には自民党の議員たちによって、そうなっている。
自民党議員は今、「安定的な皇位継承」について、話し合って意見を取りまとめなければならないはずなのに、先送りして放置しています。
そもそも2017年、天皇であった現在の上皇さまが、法律も成立して生前退位をなさったその時に、国会が、政府に向けて、安定的な皇位継承について検討するよう、付帯決議で求めたのでした。
──その後、それがどう進んだかというと……
政府は国会の付帯決議を受けて、有識者会議をもうけて13回の会議を重ね、多くの専門家の意見も参照しながら、一つの報告書にまとめました。
その報告書には2案が記されました。
①女性皇族が結婚後も皇族でありつづける、という案
②旧宮家から、男系男子となる人を、養子縁組をして皇族に入ってもらう案
①②の案によって、最近どんどん減ってきている皇族の人数を、まずは保とう、男系男子も増やそう、という意図でまとめられました。
──でも、女性天皇や女系天皇にかかわる案が、報告書にはまるで入っていません。
政府はもともと天皇は男系男子に限るという考えであり、その考えに沿って、有識者会議のメンバーも選んで進めた、出来レースのようなものだったのかもしれません
2005年、小泉政権時の有識者会議によって提出された報告書には、天皇家の長子に、男女の区別なく皇位を継承していく、という案がまとめられました。女性・女系天皇を容認して。現代という時代と世界を見据えた内容だったと思います。
その報告書案が現実化しなかった理由は、過去にこのサイトでも記しています。
たとえば → 女系容認の流れを、小野さん顧みる
2022年1月、岸田政権は件の報告書を国会に提出し、そうして衆参の両議長が、各党へ、意見を取りまとめるよう求めました。
が、そこからもう1年半以上が、経過してしまっている今現在です。
──この辺りのことは 8月29日の毎日新聞が報じています。
→自民「皇位継承」棚上げ 懇談会1回だけ、1年半開かず 党内で意見割れ
日本維新の会は、旧宮家からの養子縁組案を最優先する見解をまとめ、国会に報告したようです。
共産党は、もともと女性・女系天皇を容認しています。
他の政党は、自民党のスタンスが明確になってから、おのおの意見を提出しようとしています。
自民党が党内の議論を、特に選挙を意識して先送りしてきたわけは、──自民党の支持団体である日本会議や、それから旧統一教会などが、天皇は男系男子に限ると主張し、あわせて選択的夫婦別姓やジェンダーフリーや、中学高校の生徒への性教育にも、反対や反発をしている現状がまずあって、国民の多くはしかし、いまや女性・女系天皇を容認していることから、自民党内部にも意見対立は起きるでしょう、そこで、面倒な波風が立たないように皇位継承の議論はさっさと先送りし、そうして選挙を勝ち抜いてきました。自分たちの権力維持が何にもまして大事だから。
口では「皇室のあり方は国の根幹に関わる極めて重要な課題」だと言いながら、皇族として生きる、生身の方々への思いなど、みじんも持ち合わせていないことが大変によく分かる事象です。
佳子さまは28歳。愛子さまは21歳。悠仁さまは、9月6日で17歳です。
それぞれが、みずからの将来を考えて、実際はどうなるかは別にしても、先々を見通してみたいと、思っているに違いありません。普通、誰しもそう思いますよ。