愛子さまの“お相手”は誰? といった週刊誌報道が、この春もまた幾つもありました。皇位継承に関係するだろう記事です。
2021年 2022年に“お相手”として報道されたのは、旧宮家である賀陽家(かやけ)の、20代のご子息でしたが、この春に話題になったも同じくその方でした。
──賀陽家の現当主・賀陽正憲氏は、学習院初等科からの天皇陛下のご学友で、20代のご子息が二人いるが、これまで新年祝賀の行事などへ彼らも連れてゆき、愛子さまも同席されることがあって交流が始まり、特に次男のご子息とは話が盛り上がり、最近も御所で面会し…──
──今後はその次男であるお相手が、常陸宮家(ひたちのみやけ)に養子入りして、そのあと、愛子さまとご成婚となれば、男児ご誕生となるかもしれず、「皇位継承」と「皇族数の確保」、これらの問題もうまく解決でき…──
といったバラ色の話も紙上をにぎわせました。
八木秀次麗澤大学教授の談話が、その核をなしていました。
女系天皇は、受け入れられない、天皇は男系男子に限る、という考えに基づいた話題。
それは、政府の有識者会議が取りまとめた報告書とかさなる内容であり、つまり政府の考えにかさなる報道になっていました。
けれども、それらの週刊誌報道はただの願望──天皇は男系男子に限る論者の、願望、だったのかもしれません。
なぜなら“お相手”の父親である、賀陽家の当主・正憲氏は、『週刊新潮』から12年前ですがインタビューを受けて、次のように答えていましたから。
──賀陽家は、皇女をお迎えしておらず、また、既に(元皇族だった)当主はなく、私も菊栄親睦会(皇室の方々と元皇族などの親睦会。2014年5月以降は開催されていない)のメンバーではありません。
(愛子さまとの)縁談など、立場が違いすぎ、恐れ多いことです。
息子たちはPSP(当時流行していたゲーム)で遊ぶ、普通の男の子です。皇室様へのお婿入りなど考えること自体、失礼だと思います──
愛子さまとのご成婚について賀陽氏はまったく考えていないふうでした。
そのお気持ちが180度変わったようなら、同誌は今春にも賀陽氏へインタビューすべきであったのに、取材せずに記事を一方的に書いています。
もしもインタビューしていたら、記事はバラ色のストーリーには仕立てられなかったのではないでしょうか。
週刊誌の記事が、皇室をめぐるテーマである場合、どんなことを書こうが皇室側から名誉棄損などで訴えられるはずはなく、そのリスクがないゆえに週刊誌は好き勝手に書けて、売れ行きもよくなる、…らしいのです。なんかヒドい話です。
神道学者で皇室研究者の高森明勅氏が、今春の週刊誌報道の、うさん臭さについて分析しています。
旧宮家の男系男子、この表現の仕方の不適格さなどについても解説してくれています。
「旧宮家プラン」支持者が巻き返し狙ったか…皇室研究家が指摘する愛子さま”お相手”報道のうさん臭さ(プレジデントオンライン)
政府は、男系男子に限る方針に固執しています。
世論の多くは女性・女系天皇も容認しているのですが。
選択的夫婦別姓制度も同じく、世論の多くは受け入れています。ですが女性・女系天皇に反対する人の多くが、その制度にも反対してます。
政治は、世論を反映しないのでしょうか。
反映しない理由の一つに、選挙で投票をしない、棄権する、人が非常に多いことがあるのかもしれません。
参政権は有効に使いたいものです。